出版情報 (2026.3)

ナラ枯れ被害木を伐倒処理したところ。周囲の地面が明るくなっています

OB 加藤さんの修士論文(一部)が日本森林学会誌から出版されました:

コナラ林およびマテバシイ林の更新に与えるナラ枯れと偶蹄類の影響」(オープンアクセス)

ナラやカシの木が集団で枯れる樹木感染症、通称「ナラ枯れ」が全国で猛威を振るっています。薬剤投与による防御が難しい場合、被害木の伐採・燻蒸による感染拡大予防が主な対応となっています。

被害林分は大部分が天然林で、公園や緑地になっているところも多く、大木がバタバタ枯れた跡地をどう管理するかも悩みどころです。そこで、ナラ枯れ被害が著しい千葉県ほか、本州太平洋側の被害発生地のあちこちへ出向き、樹木や林床植生の変化傾向を調べました。

雑なまとめ:ナラ枯れ被害跡地では林床がやや明るくなるが、実生更新が劇的に促進される効果は出ない。コナラは萌芽更新が難しく、もし更新させたい場合は、偶蹄類(とくにシカ)対策&下刈りなどの管理を行いつつ豊作を待つ。マテバシイは実生が出ず、萌芽の方が可能性があるかもしれない。

地域や管理状態によりナラ枯れの状況は異なります。例えば、東北などに多いコナラ・ミズナラ林などでは、被害後の林床はもっと明るくなりそうです。また、樹種によって病気への感受性=被害程度が異なる事もよく知られています。ただ、地域・樹種によらず、シカの密度が高まれば更新は無理ですので、シカのコントロールは必須です。