About Us

人間の社会構造の変容とともに、歴史的に培われてきた人と生態系との関係は劇的に変化し、生物多様性の喪失や生態系サービスの低下を招いてきました。特に、陸域面積の1/3を占める森林生態系の減少や劣化は、人間社会に顕著な負の影響をもたらしています。

一方で、地上数十メートルの巨大な森林では、いまだ調査研究の不十分な謎が数多く残されています。一見静止しているかのように見える森は、刻刻と変化する生物たちの営みにより成り立っています。それらの探求は、森林保全上不可欠な知見となるだけでなく、人や世界についての新しい発見をももたらします。

私たちは、森林生態系の機能を解明し保全していくため、様々な研究や社会的活動を展開しています。現在の主要な研究テーマは、以下のとおりです。


(1)ニホンジカと人と森
野生ニホンジカの増加による森林生態系の機能への影響を定量し、生態系機能を修復する研究を行っています。人間社会と森とニホンジカの関係をマクロな視点で読み解き、地球変動下における三者の将来像を模索しつつ、個々の地域スケールの対策にも取り組んでいます。

(2)天然林の樹木の生活史
森林の高い炭素固定機能や多くの野生生物の生活場をもたらす根源は、樹木の多様な生活史戦略(生き方の知恵)です。複雑な森林構造が発達していくメカニズムを、枝の伸び方のルールや花を咲かせる遺伝的なしくみの違いから探っています。