試験地日誌(5月)

長期試験地は花期です。

ヤマテリハノイバラ(アズマイバラ)

伐採+柵区で旺盛に咲いています。比較的シカに好まれず、伐採柵なし区でも咲きますが、柵内の方が花ぶりが良い気がします。微かですが、ちゃんと?バラの香りがします。

ハコネウツギ

これも伐採+柵区で旺盛を極める樹種です。

アリドオシ

花も対生します。どの実験区にも出ますが閉鎖林冠下に多い印象です。林冠下のある柵の中で、多くの花をつけていました。

ときどき、柵に枯れ木が倒れかかって、柵を壊してしまいます。

柵の壊れたところにキョン道。

倒木でネットが引っ張られ、ネットとポールの継ぎ目がほどけて隙間が空いたところに、キョン道ができていました。ちょうど柵外にキョンがいて、近づくと柵内に逃げ込み、内側から散々体当たりして破損を拡大しやがった挙句、隙間に誘導してあげると尻毛を「ぴっ」と立てながら逃げていきました…

※こいつは侵入犯ではないが…

今回は3個も柵が壊れており修理に苦労しました。長期実験はメンテが必須です。

ESJ72 シカのシンポジウム(お礼)

ESJ72 で,腕に覚えのあるシカ影響の研究者が日本中から集まって議論する,という稀有な機会がありました。席数が650人だったのですが,7割以上埋まっていたように見えました。シカ問題をメインストリームに,という企画者みなさんの思いが報われていたと思います。ご参加の皆様,貴重なお時間を本当にありがとうございました。

お詫び:企画者の方々に「総合討論のとき物凄く顔が怖かった」と言われてビックリしました。思い当たることといえば,,じつは最近急に視力が下がったため,グラフとか,遠くの人の顔などがよくみえないのです。スライドの,散布図の点は全部2つペアに見える。それは老眼ではなく乱視というのだ,と昨日,知人に教えていただきました。柏に戻ったらすぐ眼科に行きます。

シカ影響のレビューと、日本語シンポのおしらせ

生態学会の雑誌 Ecological Research に、シカの影響についてのレビューがのりました。

https://doi.org/10.1111/1440-1703.12537

今回のレビューの主題は、シカの影響で森林生態系が非森林に転換する(かどうか)という問題です。

この問題の研究はけっこう歴史があって、日本でも北米でも、理論から観測まで様々な論文が出ています。しかし、事象の発生地域が比較的限られていたため、学問シーンの中心にはなかなかならなかったと思います。それが、昨今のシカ情勢を受け俄然、主流化してきた感があります。今回のレビューが、多くの先行研究がふたたび読まれるキッカケになれば。(…と偉そうにいうほど網羅できてない。)

あと、日本の論文を海外の人に紹介とか、長期研究の科研申請の根拠に使えるかな、とか、、雑念だらけですいませんがよろしくお願いします。

関連して、3/17 に ESJ72(日本生態学会大会)シカの影響と対策の公募シンポジウムが行われます。こちらは日本語です。

集会の企画意図は、講演予定の内容だけに留まらず、多くの研究者が意見交換することにあるようです。なお、過半の講演者は研究と社会実装を長年やっている方です。もちろん学会だから生態学の話をするんですが、絶対それだけで終わらない予感がします。。

シンポの前後には一般講演や自由集会もセットになっています。春休みの札幌なのですが、そして裏番組たちも強力ですが、ぜひご検討ください。シンポはライブ配信も予定されています。