学会発表情報

生態学会では本研究室の院生さんたちが沢山発表していました。森林学会でも発表がありますのでよろしかったら覗いてあげてください。

生態学会:

[I04-05] 都市近郊の残存林の生態系機能について~生物由来のサービスとディスサービスの評価~ *竹井通隆 ほか

[P2-156] イタヤカエデとオオモミジにおける成長フェーズから繁殖フェーズへの変化 藤岡薫子 ほか

[P1-402] アライグマ餌トラップの有効性評価 渡邉英之

森林学会(要旨はこちら):

[P-220] カエデ属 2 種の花芽形成期に発現する花成関連
遺伝子の探索 藤岡薫子,久本洋子,鈴木 牧

[P-108] 房総半島のナラ枯れ被害地における下層植生に
対するシカの影響 加藤大樹,福島成樹,鈴木 牧

ところで生態学会の懇親会場で「あの大島賞の女の人はとっても怖いらしい」とか噂してたというどこかの若き学徒よ。違うんだ,「虎」とはそんな良いもんじゃあないんだ。じゃ何よと言われても困るけど。とりあえず最近お酒飲んでないです(当社比)。

樹木の天辺はどうなっているのか?

苫小牧研究林の研究紹介で,キャノピークレーンを使った調査の様子が紹介されました。

調査の説明は後日書きます。それはそれとして

学生さんが乗っているゴンドラと樽前山の写真は,研究林の植竹先生が飛ばしたドローンからの撮影です。

ていうかドローンで調査すればいいんじゃないの,と思うかもしれません。たしかにドローンの活躍は目覚ましいものがあります。…でも,やっぱり人が行かないと無理な事も沢山あります。

このクレーンは設置から20年以上たっていて,これまで多くの先進的な研究に使われてきました。日本でここにしかない貴重な施設です。

発表情報

また更新をさぼってしまいました。

「千葉県と連携大学との研究成果発表会」(オンライン)にて研究室の院生さんが発表します。

・アライグマ餌トラップ法による生息確認の精度評価(渡邉)
・都市人工林の生態系機能ー生物由来のサービス・ディスサービス評価の試みー(竹井)
・ナラ枯れ被害地での更新状況とシカの採食圧による影響(加藤)
・骨組織から 読み解 くオオサンショウウオの成長 ー 齢査定法の確立を目指して ー(野田@久保研)

千葉県内の大学で地元の自然保護の研究をしている学生たちが話す珍しい機会です。会の前半には野田コウノトリのシンポもあります。関心をお持ちの方はご視聴ください。

会費は無料ですが,事前に参加登録が必要だそうです。

進学相談

今週末2/14 にオンラインオープンラボ(入試説明会)が開催されます。残念ながら本研究室の教員はこの日は参加できないのですが,自然環境学専攻へ進学をお考えの方はご参加いただければと思います。本研究室の教員に進学相談されたい方は,連絡いただければ日程調整のうえ個別にご対応いたします。

新作情報

2017年度修了生の原田さんの修論が Forest Ecology and Management 誌に出ました。

Kensuke Harada, Jeffery Ang Meng Ann & Maki Suzuki (2020)
Legacy effects of sika deer overpopulation on ground vegetation and soil physical properties. Forest Ecology and Management 474: 118346

2005 年に,シカの密度と植生の状態との関係を調べるため,房総半島南部で広域・多点の植生調査を行いました(約70か所)。それから11年経過した 2016 年にもう一度同じ場所を植生調査して,変化を追跡した論文です。単純そうだけど意外とない種類のデータです。いくつかの調査地は,2016年にはすでに林道崩壊などで到達できなくなっていました。。本当に大変だった。

2016 年の植生量は 2005 年に比べて増えてはおらず,むしろ減少していました。これは,シカの生息密度が増えたためではありません。房総半島ではシカの捕獲が精力的に行われていて,一部の地域では2005年から2016年までの間に,シカの生息密度が減少しています。それらの地域においても,失われた植生は回復せず,乏しいままで推移したのです。

私たちは,過去に生態系が受けたダメージが,シカが減った後も長いあいだ残っているのだと考えています(履歴効果 legacy effect)。房総の森林(閉鎖林冠下)では,少なくとも11年は過去のダメージが残っているようです。

このことは,保全計画を考えるうえで重要です。影響が時間とともに累積していき,システムに長く遺留するのだとしたら,対策を開始する早さによって保全の成否が変わってくるからです。

原田さんは,調査地の土壌の物理的な状態(孔隙率・緊密度)も調べています。一般に,シカが増えて植生が減ると表土が硬く締まってしまう傾向があり,これが植物の回復を阻害するのではと言われています。今回の研究でもそのような効果がみられましたが,一方で,土壌の劣化によって植物が増えにくくなるような効果は,統計的には検出されませんでした。履歴効果の「正体」が何なのか(なぜ減った植物が回復しないのか)については,まだ謎が多いです。

紙の雑誌には10月くらいに出るらしいです。

NENV, GSFS, U-Tokyo