Mechanism & use of Natural forests

(天然林の動態メカニズムと資源利用)

樹木・特に高木種は,生態系の中で特別な機能を持った生物群です。膨大な一次生産を行う一方,巨大な難分解性の三次元構造を作り出すことにより,複雑で多様性の高い森林生態系を文字通り支えています。また,樹木自体の性質が少しずつ異なることで,樹木を利用する動物や菌に多様な生き方の選択肢を与えると考えられています。人間もまた,樹木の多様な性質を学び,様々な用途に合わせて利用することで,発展をとげてきた生き物の一つです。

このような驚異的な生物群ですが,多様な樹木群集を持続的に利用するという事は,じつは林業技術的には極めて難しい挑戦です。経済学的な難しさはもちろんのこと,生物学的な難しさもあります。蓄積や本数が減少しないように伐採量を厳重に制限しても,伐採できる木が減っていってしまう,気が付いたら種構成が変わっていた,といった事があります。(このトピックに関係する報告

そもそも,現在の群集組成が,自然条件下では長期的に安定していたのか(持続的施業のアイデアはそういう仮定から出発しているわけですが),それとも長い目でみればダイナミックに変化していくものなのか?仮に自然条件下では種構成が長期安定なのだとしたら,それはどういうメカニズムによるのか?これらの謎の答えはまだ出ていません。これらの謎が解けなければ,持続的な資源管理の方法を確立することも,もちろん難しいでしょう。(このトピックに関係する報告1)(このトピックに関係する報告2

森林動態は千年以上のスケールの話になりますが,その科学的研究の歴史は100年にも足りません。気の長い研究分野なせいか,日本の若い研究者では取り組む人が少なくなってきてしまいました。しかし欧米では相変わらず盛んですし,天然林の壮大な魅力を最も肌で感じられる分野です。英語と数学が好きで,体力とバランス感覚に自信のある若い方,ぜひお近くの森林動態の研究室へ。

NENV, GSFS, U-Tokyo