(野生ニホンジカによる森林生態系への影響評価,生態系機能を修復する方法の開発)
北半球の多くの地域で,シカの仲間が増加傾向にあります(注:全部のシカが増えてるわけではなく,絶滅の危機にある種類もいますが)。これにより,生態系に様々な影響が生じています。
- シカは植物をかなりの勢いで消費します。それにより,まずは植物種自体の生残を脅かします。さらに,植物を利用している動物(昆虫など)や菌類 etc. に対しても,強い負の間接的影響を及ぼします。(このトピックに関する報告:1, 2, 3, 4)
- シカは体が大きい動物です。跳んだり跳ねたり歩いたりすると,土壌に物理的な圧力が発生します。それだけでも土壌が緊密化し,土壌動物や植物にとって土壌環境が悪化する…と海外では言われています。また,植物が消失した間接的な影響で表土が流れやすくなる効果もあります。おそらく両方の効果により,土壌の物理状態は悪くなり,植物の定着や分解者の活動を阻害するかもしれません(このトピックに関する報告:1,2)。
- シカに吸血するマダニの分布拡大や密度増加も指摘されています。マダニは人獣共通感染症を媒介するため,近年はそれらの感染症に罹患するリスクの増大が懸念されています。(このトピックに関する報告:1)