未分類」カテゴリーアーカイブ

試験地日誌(7月)

花がない時期なので (?) 実験区の様子など。下は前回キョンと会った調査地の様子です。写真奥の明るい所は、2008年春に伐採した後、シカ柵を張らずに経過を見ている区画です。すっかりアカマツ林になりました。

暑苦しい夏にはさわやかでよい…

アカマツは有機物堆積の薄い立地に生育する植物です。シカに比較的好まれず、他の植物が殆ど食われてしまうシカ密度でも、割と生き残ります。写真の場所は比較的急傾斜なので、シカの影響で植物が生えられないと、堆積物が流失して地面が露出がちになります。こうしてできたアカマツ向きな立地に、近くの母樹から種子が飛んできて、天然アカマツ林のできあがり(まあ17年かかっているのですが)。

上の風景を拡大すると、手前と奥にアカマツの梢端がみえ、間に挟まるようにカラスザンショウの梢端が見えます。カラスザンショウは、伐採後にシカ柵で囲った区画の林冠部です。

カラスザンショウの下の林床は、こんな感じ:

おなじみのヒサカキやスゲが繁茂しています。近くにスギ植林地があるので、よく見るとスギも生えてます。一方で、アカマツはこの柵内には全然見当たりません。

このように、シカは伐採跡地の森林発達の方向性を変える力を持っています。一方で、房総半島のように生産性の高い環境では、シカがそれなりにいても、伐採跡地は最終的に森になっていきそうです(木の種類は伐採前と違いますが)。

(↑今回のサービスショット)

試験地日誌(5月)

長期試験地は花期です。

ヤマテリハノイバラ(アズマイバラ)

伐採+柵区で旺盛に咲いています。比較的シカに好まれず、伐採柵なし区でも咲きますが、柵内の方が花ぶりが良い気がします。微かですが、ちゃんと?バラの香りがします。

ハコネウツギ

これも伐採+柵区で旺盛を極める樹種です。

アリドオシ

花も対生します。どの実験区にも出ますが閉鎖林冠下に多い印象です。林冠下のある柵の中で、多くの花をつけていました。

ときどき、柵に枯れ木が倒れかかって、柵を壊してしまいます。

柵の壊れたところにキョン道。

倒木でネットが引っ張られ、ネットとポールの継ぎ目がほどけて隙間が空いたところに、キョン道ができていました。ちょうど柵外にキョンがいて、近づくと柵内に逃げ込み、内側から散々体当たりして破損を拡大しやがった挙句、隙間に誘導してあげると尻毛を「ぴっ」と立てながら逃げていきました…

※こいつは侵入犯ではないが…

今回は3個も柵が壊れており修理に苦労しました。長期実験はメンテが必須です。

ESJ72 シカのシンポジウム(お礼)

ESJ72 で,腕に覚えのあるシカ影響の研究者が日本中から集まって議論する,という稀有な機会がありました。席数が650人だったのですが,7割以上埋まっていたように見えました。シカ問題をメインストリームに,という企画者みなさんの思いが報われていたと思います。ご参加の皆様,貴重なお時間を本当にありがとうございました。

お詫び:企画者の方々に「総合討論のとき物凄く顔が怖かった」と言われてビックリしました。思い当たることといえば,,じつは最近急に視力が下がったため,グラフとか,遠くの人の顔などがよくみえないのです。スライドの,散布図の点は全部2つペアに見える。それは老眼ではなく乱視というのだ,と昨日,知人に教えていただきました。柏に戻ったらすぐ眼科に行きます。